快晴とは言えない天気でしたが、台風一過、今日は近所のコミセンで行われた、阿刀田高先生の講演会を拝聴してきました。
先生は、日本ペンクラブの会長を務め、国際ペンクラブ日本大会を大成功に導き、同時に書き下ろし小説を書き上げるという離れ業を成し遂げたばかりで、その他に国の諮問機関の委員も務められる、文壇の顔と言うべき存在です。
今回の講演では、日本人が持つ、もったいないという気持ちを超えて、ものを使わない、簡素な文化である、ということから紐解き、日本語の歴史の長さ、奥深さ、多様性、を例示し、
「日本語が豊かでなければ、文化が豊かにならない」
「日本語を大切にしないと文化の存在そのものが危うくなる」
「日本語は特殊な言語だから2倍苦労するけど、大切にする必要がある、宿命だ」
と力説されました。
また、日本文学が質量ともに世界1位だとおっしゃいました。不当に評価が低いのは、ノーベル賞選考委員に日本文学を原文(日本語)で読める人がいない点もあると指摘しました。
読書の必要性、有益性も訴え、
・安価である。
・一人で、いつでも、どこでも楽しめる。
・新聞1面下の八つ切り広告が生き残っているなど、多くの人に支持されている。
などの例示をされ、
「私たちは、本を読むことによって育ててきた文化がある。これを失っては損をする」
と、文化としての出版と読書習慣を守るべきだと強調されました。
そのためには、13歳くらいまでに読書好きにするのが肝要だといい、
そういう会議に出ているときに、ふと
「私はこうして会議に出ているより、若い読者に向けた本を書くべきではないか?」
という疑問を感じたりするそうです。
阿刀田高先生が読書好きになられたのは、幼少期に家庭が言葉遊びをよくする家であったからかもしれないと考えているそうです。
その辺りは先生の著作『ことば遊びの楽しみ (岩波新書)』に書いてあるそうです。
数え歌・和歌・駄洒落、ほれぼれする日本文化があると力説なさっていました。
公的機関で文化としての文学を大切にして欲しいと締めくくられました。
こうして書くと、非常に堅い話のようになりましたが、会場は笑いが絶えないとても楽しい講演会でした。
お忙しい中を、本当にありがとうございました。
明倫堂鍼灸院ホームページ
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